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CONNECT #8 Kanna Miyazaki(絵描き・アートパフォーマー)

今や世界中で知られるエコなムーブメント、プラスチックフリージュライ(※)。もしかしたら耳にしたことがあるかもしれません。2011年にオーストラリアで生まれたイベントで、毎年7月には意識的に使い捨てプラスチックの利用を控えることを目指す動きです。

※プラスチックフリージュライについては、こちらの記事もご参考ください。

私たちの宿があるのも、地球があるおかげ。エンブレムフロー箱根でもこの月を通して少しでもプラスチックを減らすきっかけづくりができたら……という思いから、クリエイターのみなさまと一緒にプラスチックへの意識が少しだけ変わるかもしれない展示を企画しました。ラインアップは以下!

①海洋プラスチックをアートに変える宮崎栞奈(みやざき・かんな)さんの展示

②海洋プラスチックをアクセサリーに変えるomo como gomoさんのアクセサリー販売

③プラスチックってそもそもなんで減らしたほうがいいの?クイズ with イラストレーター稲垣晴菜さん

さらに以下は宿泊者限定となりますが、7月を通して以下のことを実施します。

④未使用のアメニティを竹歯ブラシ&歯磨き用タブレットセットと交換しよう!

⑤コンタクトレンズの空きケース回収!(空ケースは、プラスチックを再資源化する団体に寄付)

ここでは今回展示をしてくださる宮崎栞奈さんに海洋プラスチックでアートをつくろうと思った理由から、プラスチックを減らすうえでの簡単なアクションまで聞きました。

宮崎栞奈さん

エンブレム編集部(以下、E):海洋プラスチックを使ったアートはまだまだ珍しい気がします。どのような経緯で、海洋プラスチックをアートに取り入れることになったんですか。

宮崎栞奈さん(以下、K):幼い頃から「綺麗な地球であってほしい」という思いがあったのですが、私は人に説明するのが苦手なので、絵を会話のツールにして、自分の思いを表現してきました。ですが、私の絵は抽象的なので、「見る人に伝わっているのかなぁ」「どうしたら伝わるのかなぁ」というモヤモヤがずっとあり、絵を描く意味がわからなくなる時期が何年もありました。

コロナが流行り出して、みんな自分を見つめ直す時間と心の余裕ができましたよね。私も1年間自分自身や絵と向き合う時間ができました。ちょうどその頃に環境保全や社会活動を行うコミュニティに入ったんです。それまで環境について話し合える友達がいなかったんですが、同じような考えを持つ人にたくさん出会いました。そしてそこで出会った方とビーチクリーン(※)をすることになったんです。

※海岸の清掃活動

私はそのときはじめてビーチクリーンをし、砂の中にある海洋プラスチックを見て、「ビーチってこんなにカラフルなんだ!」と驚きました。「環境破壊だ、やばい!」というよりも先にときめいてしまったのをよく覚えています。ですがその数秒後、この現状を救いたいと思うと同時に「これだ!」というひらめきがありました。

はじめてのビーチクリーンは感情の起伏が激しかったです(笑)。

▲浜辺から集めた色とりどりの海洋プラスチックたち

どうしたらこの状況を広められるだろうと考えたときに、ゴミをアートと掛け合わせば絵に興味のない人にもストレートに伝わるし、環境問題に興味がない人にもアートをきっかけに興味を持ってもらえると思ったんです。それがはじまりですね。

▲栞奈さんの作品。アクリル絵の具や水彩、パステルや色鉛筆を使って絵をつくりあげる。この作品のように浜辺で拾った海洋プラスチックを絵の一部にすることが多い

E:海洋プラスチックを使って花瓶や額縁が作れるワークショップも頻繁に開催されていますよね。作品の制作に限らずワークショップにも意欲的に取り組まれているのには、どんな理由があるんですか。

K:私が一人でマイクロプラスチックを使ったアートを作ったところで、私の友達やフォロワーさんにしか広まらないと思ったんです。ワークショップをすれば、そこへ参加した方々だけでなく、彼らの家族や友達、SNSでつながっている人たち、つまり、私の手に届かない方々にも知ってもらうことができる。私なりの環境アクションの一つがワークショップだと思っています。

▲ワークショップの様子。再生パルプ粘土と色とりどりの海洋プラスチックで自分だけの花瓶&植木鉢づくり。栞奈さんがビーチクリーンアップ団体などから集めたカラフルな海洋プラスチックで飾りつけをする

E:ちなみに栞奈さんがここまで環境問題に熱心な思いを抱かれているのには、どのような理由や歴史があるのでしょう。

K:環境についてよく考えるようになったのは、専門学校に通うために東京に出てきたころからだったと思います。ビルに囲まれた環境や人混みに心も体も慣れなかったんです。

私は埼玉県育ちなので、すぐに都心に出ることもできましたが、家の周りは田んぼがあるような場所でした。なので、幼いころから親しみのある自然豊かでのんびりとした場所のほうが居心地がいいんです。

「住みやすく快適な街を!」などと掲げ、森を壊して大きなマンションを建てたり、駅前などを開発してビルをたくさん建てたりするじゃないですか。あっちもこっちもビルだらけ、太陽が当たらなくなる街並みに違和感を感じることは多々あります。逆に住みやすい場所がどんどんなくなっていってしまう気がして……。

ただ、自然や動物がのびのびと生きている光景が好きで、単純にそれを守りたいと10代のときは思っていました。

E:栞奈さんが思い描く理想の地球のありかたはどういうものなのでしょう。

K:人間の欲を考え直していける社会ですかね。食も服も、流行があるじゃないですか。その流行りのせいで苦しんでいる人(児童労働など)や、たくさん生産するために失われている森もある。そこに住む動物たちも絶滅危機にある……そういうことを一人ひとりが考えられたらいいなと思います。流行に流されず、自分の軸で本当に大切なものを考えて、必要な分だけ買う、食べる、が私の理想です。

E:ちなみに栞奈さんは制作のうえでも環境に配慮されていたりするんですか。

K:画材も環境に配慮したものをなるべく使うようにしています。ただ環境に優しい画材はまだまだ少ないので、揃えるのはなかなか難しいです。自分なりに環境に負担をかけないよう、筆についた絵の具はきちんと取り除いてから水で洗うようにしています。というのも、アクリル絵の具は添加物が混ざっていますし、かたまりをそのまま流してしまうとマイクロプラスチックのように細かいゴミとして海に流れてしまう恐れがあるんです(※)。ワークショップではそれを子どもたちにも伝えるようにしています。

※プラスチックないしマイクロプラスチックは生分解するのに長い時間がかかるため、海に一度流れてしまうと何十年、何百年と漂い続けてしまうといわれています。マイクロプラスチックには有毒化学物質が含まれているとされていますが、海に流れ出てしまうと餌と間違えて海洋動物が食べてしまうようです。さらにそれを口にした動物を捕食動物が食べるなどして食物連鎖をたどり、近年では人体からもマイクロプラスチックが検出されているそうです(参考)。

あと私自身環境を思っている以上、新しいものを生み出すことには少し抵抗があります。なのでワークショップで瓶などを使うときは、ご近所の方々や友達からいらなくなったものをもらったりしています。ワークショップや作品に使う植木鉢や額縁、筆、キャンバス、絵の具もリサイクルショップで売っているものを使います。あったらラッキーみたいな(笑)。まわりのリサイクルショップは私が買い占めちゃって、ないものもあるんですけど(笑)。

新しいものを買わなくても、よく探せばリサイクルショップに全部揃っています。中古でどうしても見つけられなかったら、画材やさんに行きます。画材やさんは最終手段です(笑)。

▲ご近所の方々やリサイクルショップから集めた瓶や鉢。海洋プラスチックを飾り付けるとこんなにもポップで愛らしいものに仕上がる

E:環境のことを毎日考えている栞奈さんだからこそ、環境のためにアクションしやすい第一歩をお聞きしたいです!

K:私の第一歩がゴミ拾いだったので、ゴミ拾いはおすすめです。ゴミ拾いって誰でもできることだと思うんです。勇気がなかったらお友達とやるとか。海に行くとだいたいビーチクリーンしている方がいるので、はじめの一歩にはいいと思います(笑)。私もそこから私生活でゴミを意識するようになりました。

E:今回の企画にちなんで、プラスチックを削減するおすすめの方法も教えてほしいです。たくさん知っていそう!

K:すでに持っているプラスチックのものは大事に使って、新しく買うものは木製のものやガラス製品など、ずっと大切に使っていけるものを選ぶことでしょうか。ただ、ものを新しく作るにはエネルギーが使われたりCO2が排出されてしまったりするので、木製やガラスのものでもリサイクルショップをまず見ます(笑)。あとはなるべく紙パッケージのものを買うとかですかね。

でもゴミってどうがんばっても、どこの家でも出ると思うんです。子供がいると特に。お菓子もたとえ中身が無添加でいい商品だったとしても、袋はプラスチックのものが多いですしね。なのでそんな袋たちは、ゴミ袋として再利用したり、汚くなかったら洗って、何度も使ったりしています(笑)。

それと子どものおもちゃもプラスチックでできているものが多いので、うちでは特別なことがない限りはリサイクルショップで買っています(笑)。子どもってすぐに飽きるので、飽きたら売って、また別のものをそこで買います。割ときれいですし、種類もたくさんありますよ。

E:お話を聞いていて、制作から生活まで環境を常に念頭に置いたうえで、行動に出ていることが感じられます。環境を思って行動しはじめたことによって変わったと感じたことなどあるのでしょうか。気になります。

K:ゴミ拾いを通して同じ考えを持つ人にたくさん出会えたことは、自分にとって大きかったです。それまで環境に関心のある友達が周りにあまりいなくて、ちゃんと発信したり友達に環境について話したりすることができず、話すと変に思われてしまった経験もあります。自分の発言に自信が持てず、人と関わらなくなった時期もありました。

だけどゴミ拾いをして出会った人たちには、自分の意見や感じたことを素直に、自信を持って言えたんです。そのときは自分でも驚きましたが、うれしかったです。

昔は人を許せなかったり、信用できなかったり、自分のなかですごく嫌なフィルターがかかっていたように思います。ですが、環境問題について真剣に考えるようになってからいろんな人と出会い、「人間っていいな」と思えるようになりました。そこからは周りの人に優しくなれたり、自分にとって悪だと思っていた人にも、もしかしたらいいところがあるかもしれないと、いいところ探しができるようになりました。

私の心が一番変わったと思います。

E:自分の世界を広げて心もオープンにするには、自分の関心に素直になること、マインドが近い人と関わることがいかに大切かがひしひしと伝わってきます。最後に、近日中に予定されていることもお聞きしたいです。

K:アートとワークショップのほかに、今年からはseeding marchéというマルシェの主催をしていて、それを全国的に広めようと動いています。すでに神奈川県では二回開催していて、次は沖縄での開催が決まっています。

マルシェでは、環境や社会の問題を知るきっかけ作りのほか、つながりやセルフラブを大事にしています。そんな商品やフード、活動家の方々をお呼びして、出店者さま、お客さま、みんなでアクションしたり、友達がつくれたりする場所になればいいなと思っています。

▲過去のイベントより。マルシェのブースの一つである「お気持ちマーケット」の風景。ここではみんながいらなくなったものを持ち寄り、購入する人が値段をつける。売り上げは全て寄付にいくようになっている。seeding marchéの開催日時や詳細についてはこちらのインスタグラムアカウントをチェック!▶︎ @seedingmarche

宮崎栞奈(みやざき・かんな)(絵描き/アートパフォーマー)

専門学校を卒業後、フリーランスで絵の活動を開始。自然や空想、命あるもの、その時の空気の色や感覚を絵で表現。また、環境問題、社会問題について考えるきっかけを作るようなアート活動をしている。個展やグループ展示、ライブペイント活動のほか、CDジャケット、ロゴデザイン、グッズデザインなども行う。絵は心の声、言葉のもっと奥深いところ絵具はおしゃべりツール。自然や空想の中に迷い込み、命あるものを探して描いている。

■PLASTIC FREE JULY Presented by Emblem

開催日時:2022年7月5日(火)-7月26日(火)| 開廊時間:7:00-22:00 | 入場:無料