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CONNECT #9 omo comogomo(アクセサリーブランド)

毎年7月には世界各国でさまざまな人が「使い捨てプラスチックの利用を少しでも減らそう!」という思いを念頭に、1カ月を通して自分なりのアクションを起こしはじめます。たとえばペットボトルに入った飲み物を買うのを控えたり、マイボトルを持ち歩いてみたり、量り売りのお店を覗いてみたり。これはオーストラリアで2011年にはじまった、ひとりでも友だちとでも、世界のどこにいても参加できる環境保護イベント「プラスチックフリージュライ(※)」の取り組みです。

※プラスチックフリージュライについては、こちらの記事もご参考ください。

エンブレムフロー箱根でもこの月を通して、プラスチックを減らすきっかけづくりができたら……という思いから、クリエイターのみなさまと一緒にプラスチックへの意識が少しだけ変わるかもしれない展示を企画しました。ラインアップは以下!

①海洋プラスチックをアートに変える宮崎栞奈(みやざき・かんな)さんの展示

②海洋プラスチックをアクセサリーに変えるomo comogomo(作家:北川桃子さん)のアクセサリー展示・販売

③プラスチックってなんで減らしたほうがいいの?クイズ with イラストレーター稲垣晴菜さん

さらに以下は宿泊者限定となりますが、7月を通して以下のことを実施します。

④未使用のアメニティを竹歯ブラシ&歯磨き用タブレットのセットと交換しよう!

⑤コンタクトレンズの空きケース回収!(空ケースは、プラスチックを再資源化する団体に寄付)

宮崎栞奈さんとのインタビューに続いて、今回は海洋プラスチックをアップサイクルするアクセサリーブランドomo comogomoの作家、北川桃子さんに、環境問題に興味を持った理由や、彼女が大事につくるアクセサリーを通して伝えたいことなどを伺いました。

すでにあるものを使いたかった

エンブレム編集部(以下、E):omo comogomoのアクセサリーは海に落ちていたプラスチックだなんて思いもしないくらい素敵な色合いで、洗練されたデザインだと感じました。たくさんの材料から選べるなかで、あえて海洋プラスチックを選ばれたのはなぜだったんでしょう。

北川桃子さん(以下、M):実は大学1年生のときに友人のプレゼントに手描きのアクセサリーを作りはじめたのががアクセサリーづくりのはじまりで、当時は海洋プラスチックを使っていなかったんです。

それが大学2年生のときスウェーデンに1年間留学をすることになり、環境問題について学ぶ機会に恵まれました。受講した授業の中で、「アップサイクル」という概念について知りました。本来なら捨てられてしまうものに価値を与えて、蘇らせるという手法ですね。

▲桃子さんが最初に作り始めた手描きのアクセサリー。ものづくりは昔から好きで、アクセサリーづくりも独学で学んだという

その影響もあって、せっかく自分でアクセサリーをつくるのなら、捨てられてしまうものや不要とされているものを素材として使えたらいいな、と思いはじめました。

それでまずはスウェーデンで見つけたデッドストックのヴィンテージボタンをアップサイクルして、アクセサリーを作るようになりました。

帰国後、地元の海を散歩した際には、海洋プラスチックや5mm未満のマイクロプラスチックが落ちていることに気づきました。

素材にまつわる背景や制作への思いを伝えることで、愛着が湧いたり、発見や行動につながったりするきっかけになるかもしれないと思い、マイクロプラスチックのほかにもロスフラワーやバロックパールを使った作品をつくりはじめました。

E:ちなみに留学先で環境問題を学ぼうと思われたのは、昔から興味があったからだったんですか。

M:そうですね。きっかけは高校の授業でした。自分で見つけてきた課題を研究することがカリキュラムに組まれていて、一年目はリサーチをし、二年目は論文にまとめ、三年目には英語でプレゼンするという流れで、課題研究にまるまる三年間を費やしました。

テーマを決めるときにいろんな本を読むなかで、食べ盛りの私に一番衝撃を与えたのは、世界の食料生産・消費についてでした。

人ではなく畜産用の食料生産が優先されていること、そして少しのお肉を生産するために大量の穀物が必要とされることを知りました。

ほかにも、世界には十分な栄養を摂れずに苦しむ人がいるにも関わらず、毎年生産された食料の三分の一が捨てられると言われています。そのような現実に対して、違和感を感じたのがきっかけでした。

E:環境問題への入り口は、海洋ゴミではなく畜産業だったのですね。

M:そうですね。ただ最初に興味を持った飢餓や飽食の問題を知ったとき「見えない場所で、こんなことが起きているんだ」と衝撃を覚えつつも、何もできませんでした。

しかし、スウェーデンではコミュニティ・地域などの小さな単位で着実に、自分たちも楽しみながらアクションを起こす学生たちに出会いました。

そんな姿勢を見て、私もまずは自分の手が届く範囲でできることを探してみようと思い、地元の「海」にたどり着きました。

心にゆとりをつくる、ものづくり

E:桃子さんがご自身のアクセサリーを通して伝えたいこともお聞きしたいです。

M:最初は素材にまつわる背景や、課題について知ってもらうために、詳しい方にお話を聞いたり、インスタグラムの投稿にまとめたり、小さなリーフレットを同封したりと、試行錯誤を重ねました。

でも、環境問題はそれぞれが複雑に絡みあっていて、すぐに解決できることではありません。

そして解決に向けて社会で大きく何かを掲げても、動くのは個人。動機はもちろん、心と時間の余白がないと、大切な人のことや、それこそ環境について考えを巡らせることは難しいと思いました。

実体験を通じてそう感じたからこそ、今は「素材がどこからきて、何が引き起こされているのか」ということだけでなく、心が少しほぐれたり、背中をそっと押せるような存在として、アクセサリーを届けたいという思いがあります。

E:心のゆとりを提供するうえで、こだわりを持って取り組まれていることはあるのでしょうか。

M:そのためにじっくり考えているのが、アクセサリーのコンセプトです。「このアクセサリーにはこういう名前があって、こういう素材で作ったんです」という背景の部分です。

たとえばきらきらした優雅な空間を切り取って作ったアクセサリーとして、日曜日シリーズがあります。

▲日曜日のリング「maple」。おやつの時間を妄想してしまうような名前がついたこちらの指輪は、「パンケーキにかける、つやつやのメープルシロップをイメージした作品」だそう。描写が食欲をかきたてる

すべてをいったん置いて公園でぼーっとしたり、パンケーキを作って自分の時間を楽しんだり、自分をいたわるやさしい時間を彷彿とさせるようなアクセサリーがつくりたくて、生まれたシリーズです。せわしくなりがちな日常の中、「日曜日のシリーズ」を手に取ることで、ほっと一息ついたり、休日のお出かけが待ち遠しくなるようなきっかけをつくれたら、という思いを込めています。

E:「つやつやのメープロシロップ」という描写には幸福感を覚えました。たしかに心にゆとりがないと、環境のこと以前に自分のことすら考えられなくなってしまう可能性もあると思うので、桃子さんの「ひとりひとりが満たされていてこそ、環境にもやさしくなれる」という考えは興味深いです。心がゆるむ瞬間を編むためのツールとして、アクセサリーがあるということですね。

M:そうですね。あと、「アクセサリー」という身近な切り口を通して、誰かの日常にとってプラスになるような気づきにつながったらいいなとも思っています。たとえば海や砂浜で見られる海洋プラスチックについてよくよく調べてみると「海の問題につながっていて、魚を食べる私たちもプラスチックを摂取している可能性もあるんだ」とか、ほかの廃材でも「世の中にはこんなにまだ使えるものがあるのに、役目を終えたら捨てられているんだ」などです。素材にまつわる背景や問題を知ることで、暮らしの選択肢が増えたり、変わったりする気がしています。

お気に入りを使い続けること

E:無駄を減らすことも桃子さんがomo comogomoとして掲げているひとつのことだと思うのですが、制作から配送までの過程で省いている無駄についてもお聞きしたいです。

M:そうですね。展示や撮影のために1作品あたり1-2点を制作するのですが、それ以降は「受注生産」という形をとっています。オーダーが入ってから制作することで、余剰や廃棄になってしまうことを防いでいます。

あとは普段ペイントするようなところも、拾ったプラスチックの色を生かしたりですね。自分の手でビーチクリーンをしながら素材を集めていることも、ほんの少しではありますが、ゴミを少なくすることにつながっているかもしれません。

包装も、雨が降ったとき以外はプラスチックフリー(※)にしています。梅雨や台風の時期はどうしてもプラスチックの袋を使ってしまうんですが、極力なくすことを心掛けています。

※プラスチックを使わないことを指す言葉

E:作家としても、一個人としても無駄をなくそうと常々考えられている桃子さんに、今回の「Plastic Free July」の企画にちなんで、誰もが実践できるプラスチック削減方法を伺いたいです。

M:マイカップやマイバッグなど、マイ◯◯は定番ですが、とても手軽です!あとは、ラップの代わりにシリコンラップを使ったり、制作時などに使用するごみ袋を紙で作ったりしています。それ以外でいうと、お気に入りのものを使い続けることがすごく大事だと思っています。

最近では環境に配慮した商品もたくさん登場していますが、何かを作る際には材料やエネルギーが必要とされます。omo comogomo もそうですが、一部には新しい素材を使うこともあります。

よって、ものを選ぶとき「サステナブルだから」という理由だけでなく、「長く使えるものであるか」という問いが大事だと思っています。

全てをエコ商品に置き換えるよりも、体や環境に悪影響がない限りは、今持っているものを工夫して使い続けるほうがさまざまな面において負荷が少ないのでは、とも思います。

あとは手作りを楽しんでみること。たとえば好きなお惣菜を詰めたお弁当を持っていくだけで、プラ容器や箸を使わずに済みますし、気分も上がります。環境をいたわることは、自分をいたわることにもつながる気がしています。最近ではエコな商品もたくさん登場していますが、エコとはいいつつも、やっぱり何かを作るとなるといろんな素材や人が使われてしまいます。なのでそれらをたくさん買い込むよりも、体や環境にものすごく悪いものでない限りは、お気に入りのものを選んで、それを長く使い続けることがいいと思います。

あとは自分で作ってみること。ごはんもそうですね。お弁当を持っていくだけでもいいと思います。環境をいたわることは、自分をいたわることにもつながる気がしています。

心地よくて、無理なく使えるものや続けられること……そういう選択をしていけたらいいんじゃないかなと思います。

▲桃子さんのお気に入りのアイテムは、桃子さんの祖父が桃子さんの母親にプレゼントしたバッグ。数年前におさがりとして桃子さんの手に渡った

E:この先も大切に使っていきたいものかどうかを立ち止まって考えて、もの選びをすることですね。

M:そうですね。omo comogomoのアクセサリーも、長く使っていただけるようにリペアを受け付けています。現状、私がつくったアクセサリーには限定しているのですが、壊れたら捨てずに、ご連絡いただければ直します。

見えないものを提供したい

E:最後にomo comogomoを立ち上げて、うれしかったことをお聞きしたいです。

ポップアップにはomo comogomoのコンセプトに共感してくれる方、廃材やアップサイクルに関心がある方、「かわいい」「キラキラしてる」など誰もがある感情を持って来てくれる方、さまざまなお客様がいらっしゃるんです。

海洋プラスチックやロスフラワーについて知らなかった方でも、作品を知る中でそれらのことに興味を持ってくださったり、そのかけらを日常に持って帰ってくださったりすることはうれしいです。

画面を通して伝えきれないことや想いを、目の前の方の反応を大切にしながら届ける場所として、ポップアップは大切にしています。

omo comogomoのアクセサリーをきっかけに生まれる会話だったり、それを身につけることで生まれるときめきや体験だったり…………私は作品以上に、そういう「目には見えないけれど、大切な時間」を提供したいんだろうな、と最近より感じるようになりました。大切な友人たちに特別なバースデープレゼントを贈りたい、と思ってアクセサリー作りを始めたことが原点にあるので、これからも私や作品に関わってくれる方々の、日常を潤すお手伝いができていたらうれしいです。

omo comogomo(オモコモゴモ)

2018年誕生、2019年”a little piece of nature with you – 自然を想う – ” をテーマに、廃材を取り入れはじめ、現在に至る。旅先で集めたビンテージのパーツ、活動拠点・湘南で集めた海洋プラスチック、捨てられるはずだったお花など「今あるもの」をかけ合わせて未来をつくる、アクセサリーブランド。

■北川桃子(omo comogomo デザイナー)

1998年生まれ、湘南育ち。学生時代に消費と幸福度の関係に興味を持ち、2017年に上智大学外国語学部へ入学、翌年スウェーデン・ウプサラ大学へ留学する。同年にアクセサリーブランドomo comogomoを立ち上げる。現地で出会ったキーワード「アップサイクル」をもとに、廃材を用いたアクセサリーの製作を開始。現在はポップアップやインスタグラムを通じて作品を届けている。

■PLASTIC FREE JULY Presented by Emblem

開催日時:2022年7月5日(火)-7月26日(火)| 開廊時間:7:00-22:00 | 入場:無料

※omo comogomoのポップアップは7月24日(日)まで。